月明かりに抱かれ、長い髪とドレスを揺らす女は深く笑む。私は貴方たちの思い通りにはならない。この夜を支配するのは、私ひとり。 連なる黒い矢が放たれる。一瞬の油断も許されないなか、どう反撃に向うかオレ達は決められずにいた。彼女が現れたときの台詞を思えば、〝汚い言葉には慣れた〟というのは事実なのだろう。

「突破口は開けるのか?スイープツインズ」ブラックスワンが問う。 「さあね。今一生懸命考えてるとこ」オレが返すと、姉が続いた。「弱点を克服されたとなってしまってはね」

もうあたし達が知る彼女じゃないって、考えた方がよさそうよ。寂し気に姉は言う。オレもつられて、少し胸がキュッと締まった。 かなりヘヴィかも、と隣でラストララバイが漏らす。我らがクイーンがこう言うんじゃ、つまり相当な難易度だ!さてどうしたものかな――、オレは頭を捻った。

「とりあえずディスっとくか?」

そんな、どっか店入るか?って言うみたいな!エンジェルボイスの一言に、オレたちは揃って目を丸くする。当の本人はなんかまずったか、と気まずそうにしたが、確かに。ジャブで様子見か、と皆で頷き、各々はようやく銃を構えた。

「なにも悪口は、汚い言葉だけの仕事じゃない。レディ、〝まるで怪物だ〟」 「澄ましたカオで隠したナカミが、どれだけ醜いかわかるよ」

先手を切ったのはブラックスワンとラストララバイ。二人の弾を受けた女は、機嫌を損ねたようにやや顔をしかめたが、効き目はその程度といった具合だ――「ねえ、退屈」。 だが今は僅かなダメージでも稼いでおきたい。意見は一致しているようで、次いでエンジェルボイスがコールを放つ。

「救えねえぜ、性根が腐ったバケモンじゃな」

女は影を操り、軽くあしらった。これじゃ、弾丸がただの群がる羽虫だ。 自分の異常性や醜さなど、とうに承知の上か。わたし、怪物と呼ばれても、もう平気。女は愉快げにくすくすと声を漏らしている。――それで、どうするつもり?

「さあ、困ったな」オレは思わず零す。 短く唸ったあと、ブラックスワンが差し込んだ。「思うに、」